1945年創業のフランスファッションデザイナー ”ピエール・バルマン”
父親は紳士服の卸業、母親はブティックを経営していたこともあり、幼い頃からファッションに囲まれていました。
建築にも興味があり当時学校にも通っていたので、ファッションとどちらの道を選択するか迷いもあったそうですが、子供の頃から馴染み深かったファッションの道へ進むこととなります。
後に「洋裁は、動く建築だ」と語っており、二つの美の融合により、彼ならではの独自のシルエットが生み出されていきました。
50年代〜60年代に最も活躍しており、特に彼の名が一気に知れ渡ったのが、映画や舞台衣装を手がけていたことにあります。
ここで大きな貢献を残し、衣装デザイン賞でもトップと言われていた"トニー賞"を受賞。
マレーネ・ディートリッヒ
ソフィア・ローレン
ブリジッド・バルドー
などと、名だたる女優たちをも虜にし、瞬く間に世界中から高い支持を得ていきました。


Christian Dior、Balenziagaと並び3代デザイナーと呼ばれていて、ディオールとは長年ライバル関係だったようです。
こんなにも偉大なデザイナー達が、肩を並べてファッション界を引っ張っていた時代があったとは、よくよく考えてみると本当にすごいことですよね。
今回はこのピエール・バルマンのオートクチュールを2点ご紹介です。
どのファッションブランドにおいても、オートクチュールを買い付けること自体簡単ではございません。
その中でも60年代物のスペシャルなピースが見つかりました。
一つ目は1960年に仕立てられたこちらから。
ドレスとジャケットで組み合わされたアンサンブル。
2点セットで買い付けることができたのも珍しいです。
60年ジャストということもあり、50年代の名残りも感じられますね。
見るからに重厚感のあるシルクは、この時代ならでは。
オートクチュールだからこそできる、贅沢な素材使いに、パイピングのデザインや包みボタンなどの細やかなディティール。
それぞれ単体だけでも、美しいシルエットがきちんと健在。
お次は1966年に仕立てられたドレスです。
先ほどとはまた印象が大きく変わり、60年代の象徴でもあるAラインが特徴的なデザイン。
ネック、裾にリング状のモチーフがあしらわれていて、今ではなかなか見ることができない手間のかかった作りになっています。
ベージュの色も様々ですが、控えめながらもなんとも上品なカラー。
ノーブルな雰囲気に見せてくれる、ネック周りや袖丈。
着用した際の見事なラインは、緻密に計算されたことが窺えます。
このクラシカルな佇まいは溜め息ものですね。
溜め息がついこぼれてしまう、そんなお洋服に出会えることは、今の時代そうそうないように思えます。
長い時代を超えてきたからこそ出るこの風格。
そしてオートクチュールは顧客様とクチュリエとの対話から完成されていきます。
そのストーリーを感じながら、袖を通してもらえたらと思います。
The Vintage Dress.
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