あっという間に2020年も後半戦となりました。
まだ気の抜けない日々ですが、
気持ちは明るく新しい日常を過ごしていきたいですね。
さて、当店はフランスのロックダウン解除になり、
ようやく少しずつですが買付が再スタートしております。
今回は少量ながら、いつにもまして少数精鋭のラインナップでの
入荷となりました!
その中でも特にスペシャルだったのがシャネルのオートクチュール。
なんと今回は1975年の物と、ココ・シャネル現役時代の1960年代の
非常に貴重な品を買い付けることが出来ました。
インスタグラムにも掲載しましたが
掲載しきれなかった詳細をブログでご紹介させて頂きます。
オートクチュールといえば
この角を三角に折って縫われたタグが特徴です。
年代によって大きさや色、書体に違いがあり、
年代を見分ける大きなポイントとなります。
今後オートクチュールをご覧になる際は
是非こちらにも注目してみてください。
まずは1975年製の、ブルーが美しいシルクドレス。
ココ・シャネル亡き後、1976年に新しいコレクションを発表するまで
彼女のアシスタントデザイナーたちが
ブランドを守り引き継いできました。
こちらはその大事な時期に作られた貴重なドレス。
この時にブランドが守られなければ、
今のシャネルは無かったかもしれないですね。
このドレスの魅力は
なんといってもこの美しいブルーのシルクシフォン。
色の抜けやすいブルーですが、非常にきれいな色で残っており
シミやダメージ等も無く
まるで1975年からタイムスリップして来たかの様な
素晴らしいコンディションです。
シンプルなワントーンのロングドレス。
シンプルだからこそ、細部が非常に繊細なデザインになっています。
シャネルらしい外側についたストラップと、
程よくゆったりとしたデコルテライン。
女性らしいデコルテをアピールしながらも、
品を失わない絶妙なラインです。
ボディラインはくびれの美しさは見せつつ、
ボディラインはゆったりと隠した
フランスらしくアンニュイで、上品なセクシーさのあるデザイン。
腰のリボンは腰の上で自然なラインで結ぶ仕様。
適当に結んでいるようですが、
切替の真上に丁度リボンが結べるよう
芯のある部分を作り長さが決められた
計算された美しいナチュラルラインです。
一見シンプルなスカートは、前後のみ生地が重ねてあります。
この重なりが歩いたり立ち止まったりした際に
前後に綺麗に広がるラインを描きます。
更に裏地はタイトにすることで生地と生地の間にスペースが出来、
よりシルクの美しい動きと軽さが見えるように
デザインされています。
シンプルだからこそ全てのパーツに繊細なデザインが施されている
オートクチュールならではの美しいドレスです。
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お次は、更に年代を遡り
まだココ・シャネルが現役中だった1960年代のドレス。
ドレス、というよりはココ・シャネルの作った
一つのアート作品の様な
お金には代えられない歴史的価値のある非常に貴重な一着です。
秋の紅葉の様な色使い
落ちた木の実のような刺繍
どんぐりのモチーフ
秋の風景をそのままドレスに再現したような
デザインになっています。
秋のお茶会のような会の為にオーダーされたのでしょうか、、
一体シャネルとオーダー主がどのようにドレスを制作したのか
タイムスリップして話を聞きたくなりますね。
ジャケットとスカートを繋げた作りの重みのあるドレスですが、
一針一針、心を込めて手縫いで作業している様子が見て取れます。
ウール生地全体の裏にはシルクが手縫いで貼られてあり、
これだけでもかなりの時間を費やしていることが想像できます。
更にシルクの裏地もつけてあります。
生地の摩擦を考えて貼っているのでしょうか。
見えないところまで繊細に気を配られているところに
シャネルの愛された理由が隠れている気がしますね。
全体に施されているトリミングは2色み見えますが実は3色構成。
3色ともに違う角度で糸が掛けてあり立体感出しています。
きっとただ縫うだけではこのふんわり感は出ないのでしょう。
同じ糸で施された刺繍ももちろん手縫い。
上から落ちてだんだんと下に溜まっていく様子が
見事に表現されています。
生地の継ぎ目でデザインがなくならないよう、
どこから見ても繋がるように計算された刺繍は
熟練の職人の成せる技ですね。
ボタン・ベルトも同じウール生地で作られています。
しっかりと重みのあるゴールドパーツが使用されており、
これだけでもかなり価値がありますね。
特にベルトはウエストの長さピッタリに作られているので、
各パーツの金具もこのドレス用に作られたのではないでしょうか。
ベルト先端のどんぐりパーツも、ドレスの1部分とは思えない
非常にクオリティの高い作り。
蓋と実のどちらも細かく線が刻まれており、どんぐりの質感が忠実に再現されています。
自然な色むらの表現も素晴らしいです。
左右の高さはあえて変えてあり、
シャネルらしい堅苦しくない綺麗なバランスを考えられているのが
伺えますね。
当時のフランス社交界では
着るものでかなり家柄や人柄が評価されたのではないでしょうか。
そんな背景もあってか、着る側も作る側も
この1着に命を懸けているというか、、
本気でこのドレスを作っていたという事が
ひしひしと伝わってきます。
簡単にお洒落を楽しめる既製服が主流になっている現代ですが、
改めてオートクチュールをみると
これぞファッションなんだなと改めて感じます。
この素敵な世界がもっと身近になったら良いのになと
思う今日この頃です。
また素晴らしい一着との出会いを求めて買い付けて参ります。
なかなか外出するのは気が引けるという方も多いとは思いますが、
近くまでお越しの際などは是非お立ち寄りくださいませ。
感動を分かち合えるのを楽しみにしております。
この時代も元気に乗り越えていきたいですね!
The Vintage Dress