ChloéのみならずFENDI、CHANELのデザインをも手掛け
その類稀な才能で最前線までファッション界で活躍し続けた、
トップデザイナー カール・ラガーフェルド。
CHANELに至ってはCOCO・CHANELの死後、長年低迷していたブランドを
見事に蘇らせたことは、もはや言うまでもないかと思います。
今回は80年代に手掛けたクロエのワンピースを2点ご紹介いたします。
一つ目は上質なブラックシルクの生地から浮かび上がる、フラワープリントが美しい逸品。
よく見るとプリントの中にチェック柄が入っていて、ここでもうすでに拘りを感じられます。
襟元の延長線上と袖部分には、レースが施されていて、肌がほんのり見えます。
抜け感が出て、ブラックでも重くならずに着用できるのが嬉しいですね。
下にパンツと合わせ、レイヤードすると一気にモードな印象に。
そして次は同年代ということに意外性も感じるこちらのミントグリーンのワンピース。
こちらも高品質なシルク素材で作れています。
あえてのローウエストに施された段フリルで、ガーリーに寄りすぎないデザイン。
Vのカットも美しく、お顔まわりもパッと明るく見せてくれます。
フリルに抵抗がある方でも、生地の落ち感が綺麗なので大人の女性にこそオススメの一着。
発色のいいミニバッグを差し色にして合わせても素敵です。
彼がフリーのデザイナーに転身し、まず最初に携わったのがクロエです。
その前はオートクチュール界から去った後、2年ほど充電期間を設け
イタリア・フィレンツェで美術を学んだり、ビーチで過ごすこともあったそう。
後にこの時間は自分にとって大きく人生を変えたと語っています。
この2年がなかったら彼はデザイナーではなく、
子供の頃の夢だった漫画家になっていたのでしょうか。
当時ではフリーのデザイナーになることは珍しかったそうですが、
その選択が功を成し、短期間の契約のはずだったFENDIで半世紀以上もデザインを手がけ、
フランスを誇るメゾン CHANELを復活させるという偉業につながりました。
やはりCHANELでの活躍ぶりは、今後も永遠に語り継がれることと思います。
今となってはシャネルとカール・ラガーフェルドは切っても切り離せませんが、
シャネルの死後1970年代ではドイツ人がフランスのメゾンを任せていいのか、
と議論が巻き起こったそうです。
もちろんカールがそんなことを気にするわけもなく、批判的な声を一蹴。
シャネルの社員だった一人が "彼ならきっとやってくれる" とカールを指名し
1983年にデビューコレクションを発表。
見事ファッション界で高く評価されることとなりました。
そしてこの成功をきっかけに、若手のデザイナーを起用し
ブランドを復活させるというビジネスモデルが浸透していきました。
この形態は今では当たり前のことですが、第一人者がカールだったとはただただ感服させられます。
固定概念を覆し、シャネルへの強いリスペクトがあったことも、
大きな要因だったのではないでしょうか。
ここから彼は同時進行で名だたるブランドのコレクションを数多くこなしていき、
全ての人生をファッションに捧げていきました。
ファッション界ではこんな多忙なデザイナーはいないと言われていたようですが、
過去のインタビューでこのようなことを語っています。
”強制的に働かされているわけでないから、私が働きすぎなんて言わないで。
仕事が気に入らないなら、他を探せばいい。
荷が重すぎるなら、他のことをすればいい。
でも、やり始めてから「やっぱ」無理と言ってやめるのはダメ。
みんなに頼りにされてるんだから”
”もし仕事が楽しみでなかったら、ゾッとするな”
"私は飽き性なんだ。同じテーマを何度も繰り返すなんて悪夢だね"
”仕事において忘れることが重要。忘れるために多大な努力もしている。
それは不満があるからではなく、新たなアイディアを探さなければならないから”
ファッションへの大きな愛はもちろんですが
人の意見に左右されない確固たる芯の強さと自信の表れ、
そして仕事に対する強い責任感がこの文章から感じ取れます。
最後の写真は国際羊毛事務局が主催する名誉あるデザインコンテストから。
向かって一番左がコート部門で優勝したカール・ラガーフェルド。
そして左から3人目がカクテルドレス部門で優勝したイヴ・サンローラン。
この二人は親友であり続け、そして良きライバルだったことで知られています。
この若かりし頃から生前までファッション界で走り続けた彼は、
まさに"レジェンド"という言葉がふさわしいですね。
The Vintage Dress.
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